No14. 使用流体の粘度が変化しても、誤差の出ない面積流量計は作れないか?
Q.使用流体の粘度が変化しても、誤差の出ない面積流量計は作れないか?
A.ある程度の範囲で「YES」です
フロート形面積流量計のフロート形状を、 適当な形にすれば、粘性影響のかなり少ないものを作ることは可能です。
フロートの形状と粘性影響
図1の様な薄型で外周の尖った形状を使えば、 粘性変化に対して誤差の出にくいものが出来ます。
しかし、フロート質量が小さいため、少ない流量しか計れません。
図2は粘度変化の影響を受けやすい形状です。
胴長のため大きな流体摩擦力を受けますが質量が大きいためより、大きい流量を計れます。
実用形状
透明テーパー管式は図のようなフロートが作れますが、金属テーパー管式はフロートが長いロッドに付けられるためロッド部の粘性摩擦が大きく、フロートエッジ形状の影響が小さくなり、 あまり選択の余地がありません。フラッパー形は、 ばねを使っていてフラッパーが板状であることから、 比較的粘性影響が少ない形状です。下図は透明テーパー管の例です。
粘性影響を受ける理由
流量の検出はフロート最大径とテーパー管内径のスキマ面積と、フロート質量及び形状により決まります。粘性が変化するとこれらの全ての「有効値」が影響を受けて変化します。
「スキマ面積」は、実際には”縮流”という現象のため、 寸法上の計算値よりも小さくなっています。
粘度が変化すると、この縮流の様子が変わり、誤差の要因となります。
「フロート質量」は流体中の見かけ質量W’が有効値であり、自重Wから浮力Fを差し引いたものです。
実際には、フロート胴部外周面で流れにより流体粘性摩擦力fが上向きに働き、見かけ質量をさらに小さくします。
胴長形状は良くない?
粘性摩擦力fは、 流れに沿ったフロート側面長さが大きいほど大きくなりますので、 図1より図2の形状の方が、粘性影響を受けやすいことになります。
一方、”縮流”と”摩擦力”の影響の大きさはでは、フロートの実用的な形状の範囲では、 ”摩擦力”分の方が大きく影響することが経験的に分かっています。
現実:粘性影響も減らしたい。
でも大きい流量も測りたい。
価額の安い透明テーパ管式を使いたい。
こんなとき、もし流量計口径を配管径より一サイズ上げても良いとお考えでしたら、効果的な最善設計は可能です。