No23. フロート形面積流量計の「ハンチング」って何?
Q.フロート形面積流量計のハンチングとは?
A.ハンチング
気体が流れるとき、フロートが上下振動を起こし、この振動は発散してフロートが上下ストッパーを叩き、ついには破損してしまうことがあります。このような振動を「ハンチング」と呼んでいます。
ハンチングの発生理由
自重を持ったフロートが動き出すためは、自重Wを最大重圧面積Sで除した分に相当する差圧(P1-P2) が必要で、これをフロートの動作差圧といいます。
(P1-P2)=W/S
上式の動作差圧に近い供給圧しか持たない運転状態のとき、ハンチングは起こりやすくなります。
現象的には、流れが始まったとき、フローの入り口圧が上昇してきて、 フロートの動作圧より大きくなったとところでフロートは動き出しますが、 フロートには慣性があるため、理論的なつり合い通過面積に相当するテーパー管高さ以上に、過渡的な上昇をします。
すると必要以上に通過面積が大きくなり、より大きな流量が一時的に流れるため、入り口圧が下がります。
この圧力低下により、供給圧がフロートの動作圧以下に下がると、フロートは下がり始めます。
下がると通過面積が小さくなり入り口圧は上昇に転じますが、フロートの慣性もあり、供給圧の上昇速度が追いつかないと、フロートは下端まで下がりきってしまいます。
再び入り口圧がフロート動作圧以上に上がってくると、フロートは上方に動きこれを繰り返し、この振動がついには発散して、上下ストッパーへ衝突するほどになってしまいます。
ハンチング運転事例
ファン又はブロワーを供給源とする配管では、ほとんどの場合発生の可能性があります。
特に吸い込み側はキケンです。
外因によるハンチング
配管途中に設けられたスイング形チャッキ弁や減圧弁でも、同様の現象がみられます。
スイングの自重が流量計と同様現象のハンチングを誘発します。
ばね式のチャッキ弁をお勧めします。
減圧弁の振動は原理的に別物ですが、口径に対してあまり流量が少ないところで使うと、内部のばねと弁座の関係が「チャタリング」を起こし、あたかも流量計が「ハンチング」しているような状況になることがあります。