No1. 面積流量計のフロートは、なぜ浮き上がるか?

浮遊か遊泳か?

”フロート”という言葉の感じから、水面等に浮かぶ”浮き子”が連想されますが、実際には流体の中を”遊泳”しているという感じのものです。

ただ、水中の魚や、空気中の風 船のように、その流体との「見か け比重差」が無いことによって”遊泳”しているのではなく、流量 計のフロートは、流体の流れる速さ等から”遊泳”する力を受けています。
飛行機が空を飛ぶ理屈とよく似ています。

海外メーカーでは”Plummet”(おもり)と呼ぶこともあるくらいで、フロートとは”重いもの”というイメージでご理解いただくのがよいかも分かりません。

例えば、水用のフロートにポリプロピレンの材料は使えません。比重が0.9と水より軽いために、水が入っただけで流れが無くてもフロートは浮いてしまいます。

流れの通路と速さ

私たちが日常経験することに、限られた通路での歩行者の流れは、狭くなるほど競り合って遅くなるということがありますが、パイプ内の流体の流れは反対で、流量が一定のとき、通路が狭くなっている場所ほど大急ぎで通り抜ける性質を持っています。

それは流体の流れというものが、圧力と速度のエネルギーを持っていて、狭いスキマを通り抜けるとき、速度エネルギーが大きくなる分だけ、圧力エネルギーが小さくなり、常に速度と圧力とのエネルギー和が一定となるような基本性質を持っているためです。(ベルヌーイの定理、連続の定理)

テーパー管中のフロートの動き

図2.で下から流れが入ってくるとき、フロートにより通路が狭くなっているため、流速が速くなりフロート外周部直後の下流側(上部)の圧力が下がり、最大径部を境として(P1-P2)の差圧が生じます。

テーパー管中のフロートの動き

この差圧に断面積をかけたものがフロートを押し上げる力となり、フロート自重と釣り合ったところで止まり安定します。
管路がテーパーのためフロートが上下することでスキマが変わり、差圧が変化してつり合いがとれるわけです。
直胴形状のシリンダーとピストンの関係と違い、テーパー管が故の妙味です。(計器としての動作原理の詳しい説明は、カタログ、又は取扱説明書を参照下さい。)

フロートの大きさと実際の差圧

図3.では、差圧力は約600mm水柱で、概ね人が風船をふくらませるときの圧力くらいで、実に5kgの重さを持ち上げていることになります。

図4.は小流量用ですが、僅か1.7gの重さを持ち上げるのに、130mm水柱もの差圧を必要とすることには、図3のフロートと比較するとき、感覚的には驚きです

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