No11. 面積流量計の許容公差は、フロート形では±2%、磁気式フラッパーでは±3%となっているが、特注すれば何%まで製作可能か?
Q.面積流量計の許容公差は、フロート形では2%、磁気式フラッパーでは±3%となっているが、特注すれば何%まで製作可能か?
A.計器の許容公差
これは使用者の実用的な要求度と生産の能率(コストの低減)のかねあいで決められるのが一般的です。したがって、より高い精度を必要とする使用者も当然あるわけですが、 一般的には原理的に適切な動作原理の流量計を選択すべきでしょう。
”精度”
精度が良いとか悪いとか、 何となく使っていますがこの言葉は曲者です。
誤差の小さいのが良い精度でしょうか?「誤差」とか「精度」とか「不確かさ」の定義はここでは小難しくなりますので避けます。
許容公差とは、 メーカーが生産用流量試験設備を使って試験した結果値の許容される誤差率(%)です。試験設備自体の誤差は含まれません。
早い話が、 計器の試験成績表の誤差は真値に対する絶対誤差ではありません。
瞬時流量計の誤差事情
積算流量ではなく、「瞬時流量測定」と言うことを再認識しましょう。
瞬時流量とは時々刻々変化する状況の把握です。瞬時流量値を真に一定にすることには多大の努力が必要です。
脈動が無く、温度、圧力も一定、粘度も一定、薬液なら濃度も一定の運転状態である必要があります。
物性の他にも使用条件として、フロート式のときには、配管取付の垂直性、バルブ位置の適正、更には経年変化に対する精度維持管理(定期検査)などが必要となります。
これらのことが整って、初めて”許容公差”を云々する意味がでてきます。
特注精度品の製作の可否
一応「YES」です。
フロート形では標準品±2%F.S→±1%
磁気式フラッパーでは標準品±3%F.S→±2%です。コストは20%位アップします。
具体的にはご使用条件をご呈示の上お問い合せ下さい。
精度よく使うには
面積流量計の精度はフルスケールに対するものです。
どの指示値においても許容誤差は最大 目盛の許容%を持っています。
最大目盛が100m3/hのとき、許容公差が±2%F.Sなら、誤差幅はどの指示値においても±2m3/hの誤差を持つと考えます。
このことから、測りたい流量は最大目盛に近い方が、相対精度を高めることが出来ます。
逆に目盛りの下の方で使うと、相対精度はかなり悪くなります。
適切な目盛り範囲の選択が必要です。
指示値に対する誤差と最大目盛に対する誤差の関係式
±X%Rd=±Y%F.S×Q/q
指示値8m3/hのとき
±2%F.S×10/8=±2.5%Rd
指示値4m3/hのとき
±2%F.S×10/4=±5%Rd
となります。
それでも高い精度が必要でしょうか「高い精度の計器を買ったからもう安心」と言うわけにはなかなかいかないようです。
上記のことをいろいろ加味して、実用的な精度品をお選び下さい。