No15. 高分子凝集剤溶液(ポリマー)の流量測定に面積流量計を選定することは適当か?
Q.高分子凝集剤溶液(ポリマー)の流量測定に面積流量計を選定することは適当か?
A.流量監視にはお薦めできません。
高分子凝集剤溶液(ポリマー)は非ニュートン流体です。(技術資料No.16参照)
流速、つまり流量によって粘度が変わるため、ある流量で設計した面積流量計は、他の流量では正しい値を指示しません。
ただし、流量及び粘度の「変化の有無」を監視するということであれはご使用いただけます。
粘度変化と流量指示誤差
一にも二にも「粘度変化」が問題点です。
薬液注入の用途では使用流量が1000l/h以下が多いのが実状です。
このような小流量域では流体の粘度変化が指示誤差に大きく影響されます。
特に高分子系流体ではこれが著しく、 流量計の精度は保証されません。
もう一つの問題点は、定量ポンプで送るときの脈流でフロートがぴょこぴょこと、上下にいつも動いてしまいます。
これはもういかんともし難く、我慢せざるを得ません。
使用時の粘度管理
一般に使用される配管内は「常温」です。
これは外気温度によって成り行きで粘度が変わるということです。
すなわち、 現場で粘度管理は出来ないというのが実状です。
この他、「非ニュートン粘度」というやっかいな特性を持っています。
目盛りの基準粘度
目盛り基準粘度を定めます。
当流体は非ニュートン粘度ですから、見かけの粘度を20~30cPに定めます。
概ね最大流量の多いときは20cP、少ないときは30cP 程度としますが、流速や機種によっても異なりますのでその都度当社から推奨します。
目盛りづくりは、上記で定めた粘度と同じ粘度の油を使って流量テストをし、その流量特性から目盛り位置を決めます。(非ニュートン粘度についてはNo.16号を参照下さい)
粘度変化による誤差の特性
使用時に流体粘度が目盛り基準と異なると、下図のような誤差が発生します。
たとえ、予めOILで異なる粘度でテストし、粘度変化による補正グラフを作っておいても役には立ちません。
それは、現場では粘度測定が出来ないことと、非ニュートン粘度のため使用時の見かけ粘度が特定できないからです
実液テストによる誤差補正
正しい指示精度を確保(補正)するには、実液による流量測定しか有りません。
現場で実液を流し、ストップウォッチとメスシリンダー等で実流量試験をして、目盛り指示値と実流量の関係特性グラフを作って下さい。
テスト時には液温度及び溶液濃度を記録して下さい。
季節が変わって粘度が変化したり、液濃度を変更したときは同様に実流量試験の上、補正して下さい。