No21. AP-0200形透明テーパー管式面積流量計のフロート形状をいろいろ見かけるが、どうしてか。又、材料の選定理由は何か?
Q.AP-0200形透明テーパー管式面積流量計のフロート形状をいろいろ見かけるが、どうしてか。又、材料の選定理由は何か?
A.フロートの形状とその特徴(矢印は目盛り読み取り位置)
(1)は象徴的な形で、歴史的に「ローターメーター」の基本フロート形状ですが、ガイドの作れない小径のみに使用されます。
(2)は粘性の影響を比較的受けにくいので、粘度の高い液体、例えば油や硫酸などに使います。温度変化に起因する粘度変化によって生じる指示誤差を、 最小限にするためです。
(3)は口径に対する流量が大きいときに使われます。大きい体積を得ると共に、流量係数も大きくなり、最も多く使われる形状です。
(4)は「パージメーター」に使われる赤いガラスや、ステンレスボールです。
安価で寸法のバラツキが少ないため、微少流量用に適しています。
テーパー管の内径寸法はボールの外径寸法に合わせて作られます。
(5)は(2)の対粘性特性を生かしつつ少し流量の大きいときに使われます。
ガイドロッドの有無
(1)のフロートのような、ガイドなしの形状でフロート姿勢を安定させるためには、縦横寸法比に大きな制限を受け、自由な体積設計が出来ません。
ガイドがあるものは、 姿勢の安定を考慮する必要がないため、自由な体積設計が出来、いろいろな流量目盛に対応するフロートを作ることが出来ます。
フロートの材料
フロートとして使用される材料には次のようなものがあります。
金属材料では、SUS3044、SUS316,チタンアルミや銅合金は変色が大きいので使用されません。プラスチックでは、PVC,PTEE(テフロン)、P.Pです。材料の選定第1には、流体に対する耐食性を考慮します。
水、空気、油など通常腐食性のない流体では、標準としてSUS304を使用します。
口径に対して流量が小さくSUS304では重すぎるときには、 チタンやプラスチックが使われることになりますが、コストとの兼ね合いを考慮する必要が出てきます。
フロート材料比重も考慮の対象です。
濃硫酸用に耐食性があるからとPVCを使うと、流れていなくてもフロートは浮き上がりオーバースケールしてしまいます。
PVCの比重は1.4で硫酸の比重1.8より小さいため浮き上がってしまうわけです。
このことから、 流体の比重に近い材料は使えません。
硫酸に対してPTEEは比重が2.2ですからOKです。
その他、特に流量が少なく小さいフロートでは、ステンレスの様に比重の大きいものを優先します。
これは、気泡の付着や流体汚れ、あるいは液粘度の変化に対する誤差を小さくする配慮からです。
フロートの向き
組み付け時にフロートの向きを反対にすると大変です。
指示誤差が異常に大きく出ます。
これは向きによって流量係数が大きく変わるためです。
2、3割の誤差が出ます。
向きは、本体にラベル表示されていますので、間違えないように確認する必要があります。